ポーチがキレイだと、想像以上に気持ち良いことがわかった。
イケアのブラシと、エマールでゴシゴシ。
予想以上に汚れていたらしく、水がグレーに濁った…。
初めての化粧ポーチは、サザビーのマスタードイエロー色だった。広島のパルコで悩みに悩んで買った。お洒落な女子高生とは言えない風貌だった。でもメイクは好きだった。資生堂のグロス、アイシャドウ。クレージュのハイライトカラー、コーセーのグリッター…。時々学校に内緒で学童保育補助のアルバイトをしていた。稼ぎで流行アイテムを手に入れ、ポーチはいつもパンパンだった。だけど、フルメイクで登校するわけにもいかず、もっぱら自宅でメイクを楽しんだ。
メイク道具は賞味期限が書いてあるわけでもなく、捨て時が難しい。化粧ポーチは年を重ねるほど、大きなものが必要になった。引っ越しの度、メイク道具を捨てた。なのに、数年で元どおり。メイク道具は元のように増え、ポーチも化粧台の引き出しもパンパンになる。
化粧道具が自然と少なくなる日がいつか訪れるのだろうか。昔、80代前半で急逝した祖母の部屋には大量の化粧品が残されていた。歳を重ねるほど、色艶は失われるのだから、それを化粧補いたくなるのは自然なことだ。しかし、ある時点で「もうどうでもいい」と思う日が来るのだろうか。すると、ポーチも自然に小さくなるのだろうか。それは嬉しいことなのか。それともちょっぴり悲しいことなのか。